【あすパン・小菅優衣】神戸中のパン屋のパンをつめこんだ「パンの宝箱」で、楽しみながら食品ロスを解決! |adlibworks広報室 読み込まれました

2023/07/27

【あすパン・小菅優衣】神戸中のパン屋のパンをつめこんだ「パンの宝箱」で、楽しみながら食品ロスを解決!

アドリブワークスでは、シード期”未満”に特化したスタートアップスタジオ「NOROSIスタートアップハブ」を運営しています。今回は、NOROSIスタートアップハブに参加しているチャレンジャーのストーリーをご紹介します!


あすパン 小菅 優衣

兵庫県神戸市生まれ。現在19歳。
神戸市立葺合高等学校を卒業後、関西学院大学人間福祉学部社会起業学科に進学。
高校時代より社会起業に関心を寄せ、大学1年次に「あすぱん」を始動。
現在は街づくりや地域創生に関心を寄せる。
2023年9月に法人を設立予定。

あすパンInstagram ▶︎ https://www.instagram.com/asupan.2022/

パン屋さんの廃棄パン =「ロスパン」を救いたい!

鈴木:小菅さんが「あすぱん」の活動を始めたきっかけを教えていただけますか?

小菅さん:地元のパン屋さんでバイトしていたときに、パンの食品ロス(ロスパン)が大量に出ていることを知って、どうにかしたいと思ったのがきっかけです。

「毎日焼きたてのパンをお客様に届けたい」というこだわりを持つパン屋さんでは、どうしてもロスパンが出てきてしまうもの。さらに神戸のパン屋は「名店」「老舗」と呼ばれるお店も多く、「安売りするとブランドイメージが崩れてしまう」という想いから、値下げもできずもったいない状態になっているという課題がありました。

そこで、まちのパン屋さんと提携し、いろいろな店舗のパンを詰め合わせて「パンの宝箱」として提供する「あすぱん」という事業を始めました。2022年の10月からスタートして、今ようやく半年経ったところです。

鈴木:実はインタビュー前にあすぱんのInstagramを見ていたのですが、ロゴのデザインがとってもかわいいなと思っていました。

小菅さん:パンを一筆書きで書くことで、パンを作っている生産者の「おいしいパンを食べてほしい」という想いと、パン屋さんのパンをなかなか買う機会がない人の「買いたい」という想いをあすぱんがつなぐ、という意味を込めています。

鈴木:ロゴに込められた意味もすごく素敵ですね。実際に事業を始めてみて、お客様の反応はいかがでしたか?

小菅さん:現在は神戸市内の貸店舗を借りて、不定期でパンを販売していますが、好評の声をたくさんいただいています。30以上のパン屋さんと提携してパンを販売していることもあり、「県内のいろいろな有名パンが食べられる」というのが一つの魅力になっているようです。

実際に販売するまでは「買ってもらえるのかな」と不安だったので、とても嬉しいです。

誰もが「社会課題に取り組む」ことを当たり前にしたい

鈴木:小菅さんは現在、関西学院大学の人間福祉学部 社会起業学科に所属されていますね。もともと社会起業(社会問題の改善を図るために事業を興すこと)に興味があったのでしょうか?

小菅さん:そうですね、大学入学前から社会課題の解決に携わりたいと思っていました。

「社会問題の解決」と聞くと、一部の意識の高い人がやるイメージがまだまだ根強くあります。社会課題に取り組むことのハードルを下げて、誰もが日常の中で課題に向き合えるような世の中にしたいと高校時代から考えていました。

通っていた高校が国際色の強い校風で、授業の中で様々な国の社会課題に触れる機会があったのも、社会課題を強く意識するようになった理由の一つかもしれません。

鈴木:あすぱんのボードメンバーである長谷川さんとは、高校で出会ったと伺いました。

小菅さん:長谷川もまた、社会課題への想いが強い人なんです。将来の夢を話し合うという授業で彼女は「世界中の家のない子どものために家を作りたい」と話していました。

理由を聞いてみると「自分がそういった社会課題に取り組む夢を伝えることで、社会課題の解決に取り組むことをみんなの中で当たり前にしたい」と。当時から「自分と考えていることが似ているな」と印象に残っていて、あすぱんを始めるときに声をかけたところ、ジョインしてくれました。

もう一人のボードメンバーである山内は、私と同じ学科で学んでいる同級生。環境活動や地域活性化のために積極的に活動しており、同じ学生団体にも所属していた友人です。あすぱんの活動を始めたときに「一緒にやりたい」と言ってくれたことがきっかけで、現在一緒に活動をしています。

大切なのはパン屋さんとの「信頼関係」。パン屋さんの想いも一緒に届ける

鈴木:あすぱんの事業を進める中で、特に大切にしていることはありますか?

小菅さん:何よりも大切にしているのが、パン屋さんとの情報連携です。

私たちはパン屋さんのパンを預かった上で、エンドユーザーの方が安全にパンを選べるようにしなければいけません。そのためにはアレルギー表示や食品表示などにも目を配る必要があります。

だからこそパン屋さんと提携する前には、しっかりオペレーションを説明して「安全な状態でお客様にパンを届けられるサービスなんです」という話をしています。

また些細なことでも情報を共有して、事業提携者さんに信頼いただけるようなコミュニケーションを取っています。

鈴木:提携するパン屋さんも「あすぱんなら安心だ」と思ってくれるからこそ、自分たちが大切に作ったパンを任せられるということですね。

小菅さんは在学中にあすぱんを立ち上げていますが、立ち上げの際に大学や神戸市からのサポートなどはあったのでしょうか?

小菅さん:大学、自治体ともに起業家支援に力を入れていると感じています。

関西学院大学では「スタートアップアカデミー」という起業家育成プログラムがあり、そこで経営やマーケティングを学びました。また学内でビジネスコンテストを開催するなど、大学全体で学生起業を後押ししています。あすぱんも学内のビジネスコンテストで最優秀賞を受賞したことがきっかけで、大学以外の方にも広く知ってもらえるようになりました。

また神戸市でも、起業家同士の交流会が定期的に開催されていたり、若者向けの起業支援コミュニティがあったりします。自分では知ることができなかった制度や法律のことを教えていただけるので、とても助かっています。

日常の中に溶け込む、社会課題を解決するサービスを作りたい

鈴木:最後に、あすぱんの今後の展望を聞かせてください!

小菅さん:まずはこの神戸で、あすぱんの取り組みをもっと定着させていきたいと思っています。

神戸は「食のまち」とも言われているのですが、その裏ではパンをはじめとして食品ロスがたくさん発生しています。あすぱんを神戸に普及させて、神戸を名実ともに食品や食文化を大切にしている「食のまち」にできたら嬉しいです。

また自分たちが大切にしていることが、「日常の中に社会課題解決のサービスを溶け込ませる」ということ。実はあすぱんを販売するときには、「食品ロスを解決しよう!」と大々的に喧伝していないんです。

もちろん賞味期限についてはきちんとお伝えしているのですが、その上で「県内のおいしいパン屋さんのパンを食べられること」「開けるまで何が入っているか分からないワクワク感」を楽しんでもらうことを意識しています。

パンを買うだけでいつの間にか食品ロスの解決に貢献できるように、これからも日常的に社会課題解決に取り組めるビジネスを立ち上げて、より多くの人たちが社会課題に関わるハードルを下げられるようにしていきたいです。

🚩小菅さんのプロジェクトについて👋

▶︎小菅さんが参加したピッチイベントの様子はこちら:
2023年 NOROSI DEMODAY SUMMER batch

▶︎あすぱんのInstagram:@asupan.2022

内容は取材当時のものです。現在のサービス名・事業内容・活動状況は同プロジェクトのホームページ・SNSなどをご参照ください。

鈴木 智華|スタートアップライター

人材系企業でwebメディアの編集・ライター経験したのち、フリーランスへ。複数のビジネス系メディアでスタートアップ・地方ビジネス分野の取材・執筆を行うほか、スタートアップ企業のメディア運営・情報発信を幅広く支援している。X:@Tsuzuki95

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